「EPIC Elvis Presley in Concert」は、単なる懐古的なコンサート映画ではなく、“エルヴィスという存在そのもの”を改めて体感させる作品だった。いやあ、良かった。ほんとうに良かった。泣いたし笑ったし、完全に痺れました。
中1の頃、父親に連れられて満員の丸の内ピカデリーで観た「Elvis on Stage」。あれが自分にとって最初のエルヴィス体験だった。当時はただ「昔のロックスターの映画を観に行く」くらいの感覚だったのだけれど、スクリーンに現れたエルヴィスは衝撃的だった。
白いジャンプスーツ姿で汗だくになりながら歌い、観客を熱狂させ、一瞬で空気を支配してしまう。歌のうまさ以上に、“スターそのもの”の迫力に圧倒された。あの日から、ロックやソウル、ポップスを夢中で聴くようになり、自分の音楽好きの原点は間違いなくエルヴィスにある。あれから、もう半世紀近い。
そして今回、そのエルヴィスがIMAXの高画質大画面と最高音響で帰ってきた。もうそれだけで感無量だ。しかも本作は、単なるライブ映像集ではない。バズ・ラーマンらしいダイナミックな編集で、エルヴィス本人の肉声ナレーションを軸に、幼少期やプライベート映像、過去の記録映像を織り込みながら、ラスベガスの巨大ステージへと至る人生を描いていく。この“本人が人生を語る”構成がとにかく貴重で、バズ・ラーマン前作の映画「エルヴィス」をさらにドキュメンタリーとして深化させたような印象だった。
さらに驚かされたのは映像素材だ。ファンなら何度も観てきた有名シーンだけでなく、「まだこんな映像が残っていたのか!」と思う50時間に及ぶ未公開フィルム(!)から選りすぐりのパフォーマンスが4Kでリファインされ次々に飛び出す。エルヴィスが笑う一瞬の表情や、客席とのやりとり、身体の動きまでが生々しく迫ってきて、まるで現在の映像そのものだった。
そして何より凄かったのが音響。これが本当に素晴らしい。ヴォーカルはもちろん、ザ・スウィート・インスピレーションズのコーラス、ジェイムズ・バートンらギター陣、重厚なオーケストラまで、それぞれがくっきりと分離して響いてくる。特に後半、ゴスペル色が強くなってからの畳みかけは圧巻で、完全に鳥肌ものだった。
エルヴィスのライブは単なるロックショーではなく、ゴスペル、R&B、カントリー、エンターテインメント全部を飲み込んだ巨大な音楽体験だったのだと改めて思う。
IMAX上映は終わってしまうけれど、通常上映でももう一度観たいと思っている。半世紀前、中1の自分を音楽の世界に引きずり込んだエルヴィスは、やっぱり今でも特別な存在だった。
作品データ
EPIC: Elvis Presley in Concert
| ジャンル | 音楽ドキュメンタリー/コンサートフィルム |
|---|---|
| テーマ | 音楽の継承、世代を超える記憶 |
| 親子度 | ★★★★☆ |
| 感動度 | ★★★★★ |
| 音楽度 | ★★★★★ |
| おすすめ | 親子で音楽を楽しんできた人、エルヴィスを大音響で体感したい人 |
関 智のひと言
父に連れられて観た一本の映画が、半世紀にわたる音楽人生の入口になった。そんな体験そのものが、“親子の贈り物”なのかもしれない。




































