テキスト版:木下 聡氏 – 未来への贈り物 ~Present to the Future~ vol.31

第31回オンライン・トークライブ「未来への贈り物 ~Present to the Future~」

出演:木下 聡(Audika株式会社 代表取締役社長)
司会:関 智(編集者、プロデューサー)
ホスト:ブルース・オズボーン(写真家)、井上佳子(親子の日普及推進委員会)
主催:親子の日普及推進委員会
配信日時:2025年2月23日(日)13:00~(LIVE配信)

第31回目のオンライン・トークライブのゲストは、木下聡さんです。
本記事では、動画のハイライトをご紹介します。
<動画は
こちら


出演:
木下 聡(Audika株式会社 代表取締役社長)

1959年大阪生まれ。プリンターのセールスやマーケティングを経て2009年、オーティコン株式会社(現デマント・ジャパン株式会社)入社、2011年から2022年末まで同社代表取締役社長。2023年からグループ企業Audika株式会社に移り補聴器販売事業に従事。補聴器を通じて「聴こえのケア」に務める。親子の日との出会いは2005年。以来20年近く協賛企業として、また公私にわたってサポートを続けている。

関 智(編集者、プロデューサー)

「POPEYE」「BRUTUS」「宝島」など、カルチャー雑誌の企画・編集に参加。現在は、日本工学院などの非常勤講師、刺激スイッチ研究所所長も務める。「親子の日」公式サイトの「せきさとるのムービー親子丼」を担当。

ブルース・オズボーン(写真家「親子の日」オリジネーター)

1982年から親子をテーマに写真撮影を開始。2003年より7月の第4日曜日を「親子の日」と提唱。「親子の日」などの写真を通じての社会活動が認められ東久邇宮文化褒賞を受賞。作家として「未来への贈り物〜Present to the Future〜」というメッセージの発信を続けている。

井上佳子(親子の日代表 プロデューサー、株式会社オゾン代表取締役)

ブルース・オズボーンの仕事とプライベートのパートナーとして数多くの展覧会やイベントをプロデュース。


 

関:皆さん、こんにちは。今日はゲストに補聴器販売と関連サービスを行うAudika(オーディカ)株式会社の木下聡さんをお招きしています。よろしくお願いします。
木下:よろしくお願いします。

ブルース夫妻とは20年来の付き合い

関:ブルース夫妻とは、いつ頃出会ったのですか。
木下:2005年頃だと思います。当時私はプリンターの会社にいて、家庭用プリンターで写真を印刷する人が多かった関係でブルースさんを紹介いただき、「親子の日」を知りました。考え方にすごく賛同できるところがあって、仕事はもちろん、個人としても応援隊を気取ってやってきました。
関:2人の最初の印象はどうでしたか。
木下:印象的だったのは、スーパーフォトセッションに最初に行った時ですね。あの熱量や楽しく写真を撮っている姿を見てすごくパワフルだと思いました。サポートの方たちも真剣に参加していた。思いついた事を実行に移す、実行力もすごいと思いましたね。



動画 7分42秒「木下さん親子写真」

関:これが最初の親子写真ですか。
木下:はい、息子が大学生になった直後に2人で撮りました。その息子も、今は2人の子の親になりました。あと7~8年すると、この時の私と同じぐらいの年になると思います。



動画 8分42秒「家族写真2」

木下:その翌年の写真です。娘がまだ中学生で、反抗期真っ盛りの頃でした。このポーズは私の思いつきでしたが、はじけるような笑顔が印象に残っています。



動画 9分42秒「家族写真3」

木下:これは11年前の2014年です。息子が結婚して、最初の赤ちゃんがお腹にいる時に撮りました。その子も、今年で11歳になります。
関:こうやって家族の歴史が写真で残されているのは、素晴らしいですね。
佳子:そろそろ、また撮影の時期ですね。

海をまたいだ活動支援

関:ブルースたちから見て、木下さんはどんな方ですか。
ブルース:明るくてフレンドリー。インターナショナルで、話しやすい人。
佳子:会社が変わっても、ずっと親子の日を応援してくれている。本当にありがたいです。
木下:むしろ後の方が、気持ち的なつながりはあったかなと思っています。



動画 12分44秒「シンガポール」

関:これは、どこですか?
木下:シンガポールです。親子の写真展を開催すると聞いて、当時勤めていたoticon(オーティコン)のシンガポール事務所に「ちょっと助けて」とお願いしたのです。
佳子:ここは在シンガポール日本大使館で、親子の日の展覧会と写真撮影会をやりました。
ブルース:木下さんは、オープニングレセプションに1時間出るためだけに来てくれた。レセプションの途中でoticonの本社とオンライン会議をして、翌朝帰っていましたから。パッションとサポート、フットワークがすごい。



動画 15分22秒「沖縄集合写真」

関:これはまた、素晴らしい写真ですね。
木下:沖縄で撮影会を開催した時の、打ち上げの様子です。すぐ向こうは海です。
佳子:沖縄は家族が多くて。2名で申し込んだのに、当日は10人ぐらい一緒に来たとか。それも沖縄っぽくて、すごく楽しかった。

「聴こえは人生と繋がっている」 木下さんの活動をご紹介

関:最近の木下さんの活動を見せていただきましょう。
木下:はい。スライドを見ながらしゃべっていきます。



動画 18分32秒「スライド1」

木下:これは、食事しながら仲間と語り合っている写真です。こういう楽しいひととき。親しい人、あるいは大事な人と一緒にいることで感じる喜びを持ち続けることが大事だという話をしたいと思います。英語で”Life is worth living.”「人生、生きてみるだけの価値はある」という言葉がありますが、ここでは”Life is worth hearing.” 聴こえは人生と繋がっている。聞くことの大切さをうたおうとしている言葉です。



動画 19分17秒「聞く&聴く」

木下:「きこえ」はひらがな三つの言葉ですけれど、日本語では二つ漢字があって。左の門構えに耳と書いた字「聞」という文字と、右の耳偏に、目と心が入った「聴」という字。英語で言うと、hearとlistenですね。「聞」という文字で表すhearは、いろいろな音が自然に耳に入ってくる状態を言います。「聴」という字のlistenは、しっかりと耳を傾ける、意志がある。そして、聞いた内容を理解しようとする意味も含まれています。
関:漢字のつくりが意味を内包していますね。
木下:聞き取りや言葉の理解だけでなく、聴くことで気持ちが感動する。音楽で感動したり、いろいろな気持ちが起きたり。聴く行為には人間の感情とか、報酬系と言われる何か得した気持ちとか、いろいろな動きが関係している。そして、脳の動き自体がそこに繋がっていることが分かっています。

これからの10年をどう過ごすか



動画 22分45秒「これからの10年」

木下:「これからの10年」が持つ意味を考えてみます。年齢によって10年の意味合いは違いますね。10歳、11歳は先が予見できるし、将来に向けての期待値があるでしょう。30代40代は家族や仕事などに社会的な責任を負う、大変な時期。そして、シニア層にとっての10年というのも、大事な期間です。



動画 24分24秒「平均寿命と健康寿命」

「平均寿命」と「健康寿命」という言葉があります。日本に住む人の平均寿命は、女性は世界一、男性も世界第3位ぐらいの長寿です。健康寿命とは、生活をしていく上で介護とか何か特別なことがない、気持ちも体も健やかに過ごすことができる年齢のことです。これは2019年のデータですが、男性で9年弱、女性は12年ほどが、日常生活に制限のある不健康な期間だそうです。この10年をもっと健康な形にする必要がある。60~70代を超えてきた人たちにとっては重要な時期ですので、生き生きと健康に過ごすことが大事ですよね。「人生100年」と言われ、リタイア後の時間をどう過ごすかが、ますます重要になってきます。楽しく笑顔で健康に過ごす時間が生きがいに繋がってきます。



動画 26分39秒「ビンゴ」

これはビンゴですけれども、これからの人生を生き生きと過ごすための、食事や生活習慣など、いろいろなことができているか確認するための25項目になっています。中でも「会話を楽しむ」は聴覚ケアが大事な項目です。

忘れがちな「聴こえ」のケア



動画 29分09秒「大切なこと」

木下:食事や睡眠などに比べ、「聴こえ」は意外と放置されている可能性が高いです。聞こえなくても何とかなると思っていたり、自然のままに任せるのだという、いい意味での日本人らしい諦め感もあるかもしれません。補聴器という言葉が好きじゃないとか、着けることが老いた証しになるようで嫌だという抵抗感が障壁になっている場合。また、通常の健康診断に聴こえのチェックがないために、見過ごされている場合もあります。
聴こえの低下・老化は活発に活動している30~40代の中年期から始まります。放置しておくと、将来的に認知症のリスクが高まることが明らかになってきています。予防のためにも、早いうちから聴こえに関心を持つことが大事です。まずは聴覚スクリーニングを受ける。最近はインターネットでも簡単に聴こえをチェックできますので、そこでも確認できます。周りの人から「テレビの音が大きい」と指摘されたら、耳鼻咽喉科で検査する。補聴器を勧められたら、私たちAudikaのような補聴器の販売店に行って、相談していただきたいですね。

「ヒアリングヘルス」で人生を肯定的に変えていく



動画 31分34秒「デンマーク」

木下:私たちの会社はAudikaという、補聴器の販売をしている会社です。本社はデンマークにあります。
デンマークは昔から音響に対する研究が産業基盤で、世界中で販売されている補聴器の約6割はデンマークの企業が作っています。そのうちの一つ、Demant(デマント)グループの補聴器ブランドoticonの販売・関連サービス店として、Audikaは全国で展開しています。
聴こえに特化した企業なので、聴こえの健康、ヒアリングヘルスと言いますが、そこを通して補聴器を使う人々の人生を大きく肯定的に変えていけるような、最終的には聴こえに悩む人がいない世界を作っていきたいと思っています。

人生の質を支える補聴器の進化

関:ためになるお話でしたね。以前に比べたら、補聴器はサイズも形もカジュアルになっている気がします。
木下:はい、目立たないですし、装置も進化しています。むしろ、これからは着けていてかっこいいと思われるようになっていくと思いますよ。
佳子:ブルースが今、耳が片方聞こえないのです。これから手術しますけれども。聞こえづらいとコミュニケーションが少なくなるので、絆にも関係してきます。
あと、人って、声が聞こえてくる方向に人がいると思うのですよ。ブルースは左の耳が聞こえるから、右から「ブルース」と呼んでも、左に私がいると思って左に行ってしまう。外を歩く時の安全にも影響すると思いました。どこから音が聞こえてくるのか、分からなくなってしまう。
木下:耳が二つあることには意味があって、どこから音が来ているか、方向性をつかむためなのですよね。
佳子:それから、食事の時に座る位置も変わりました。ブルースは左利きで私は右利きなので、今までは食事の時に私が右に座って肘がぶつからないようにしていたのですけれども、今はそれだとブルースが聞こえないので、私が左に座っています。耳の聴こえだけで、随分いろいろな変化があると感じました。
木下:最近の補聴器や人工内耳には、そういった悩みも補えるようなテクノロジーが入っています。着けている状態であれば、割と自然に振る舞えるようになってきているのです。一人一人の状況に合わせて、いろいろと調整できるようになっていますし、かなり進歩していますよ。
ブルース:新しい補聴器を使い出してから、遠くの音がよく聞こえるようになった。今はハイテクでWi-Fiが入っているし、どんどん機能が進化しているから。普通の耳よりよく聞こえるようになる可能性もあるね。
佳子:電話が要らなくなるかもしれないね。そのままで通話が聞けるようになる。
木下:それもできますよ。無線での会話もできるようになっているので、補聴器を着けた状態で、話を聞くだけでなく自分の声も相手に届きます。

ブルース展覧会情報



動画 42分19秒「ルーシー ポスター」

関:そういえば、佳子さんからお知らせがあるそうで。
佳子:はい。この春たくさん展覧会があります。最初の展覧会は日本外国特派員協会のギャラリーです。日本に来てから今までにブルースが撮った、いろいろなシリーズの写真を全部混ぜて見てもらいます。
関:ブルースの全体像が俯瞰して見られるような感じですね。
佳子:そうですね。会場にいらしていただいた方には、ダイジェスト版のような冊子も差し上げています。その他にも、レストランのアダンや丸の内のフォトギャラリー、葉山しおさい公園、京都国際写真祭、それからロンドンでも展覧会の開催が決まっています。ぜひ見に来てください。
関:これだけ多くやるとなると、木下さんも駆けつけるのが大変ですね。
佳子:できたらボストンにも(笑)。

木下 聡の~Present to the Future~



動画 48分13秒「メッセージボード」

関:では、木下さんの~Present to the Future~をお願いします。
木下:はい。“Love Your Ears!”「あなたの耳を愛しましょう。きこえを大切にすることは人生を大切にすること」ということで。これから先の人生を生き生きと生きるためにも、ぜひ聴こえを大事にしてください。
関:なるほど。この格言は、木下さん作ですか。
木下:“Love Your Ears!”はAudika社で他の国でも使っているキャンペーン・メッセージです。「きこえを大切に~」の部分は自分で作りました。
関:これは格言ですね! 大事にしたいと思います。最後にブルースたち、何かありますか。
ブルース:木下さんは大事な友達。仕事を超えた友達だと思っています。
佳子:本当に感謝していますので、これからもよろしくお願いいたします。
関:今日は貴重なお話をありがとうございました。では、この辺でお別れしたいと思います。さようなら。

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