子どもが「お母さん、お母さん」と言ってくれるのはほんの数年です。すぐにお友だちに負けてしまいます。だから育休中は子どもといる時間を楽しんでください。仕事のスキルアップは今じゃなくてもできる。でも育児は今じゃないとできないんです。
たくさん抱っこして、たくさんギューッとして、たくさん見つめてください。子どもが歩けるようになったら、一緒にいろんな所へお出かけしてみてください。公園だけじゃない、山や川、どこへでもいい。子どもと出かけると新しい発見があります。家事は手を抜いて、たまに自分にご褒美をあげて、どうしたら自分が笑顔で過ごせるかを考え、実行してください。子どもはお母さんの笑顔が一番好きです。
辛いときは、外へ出てお散歩してください。おばあちゃんやお母さんの先輩たちが「かわいいね〜」と声をかけてくれます。仕事はきっとなんとかなる。なんとかする。今じゃない。育児は今、今が一番大事です。一緒に子育てがんばりましょう。
私も戻れるのなら、また子どもが生まれた頃に戻って「泣いた顔もかわいい、かわいい」と愛でたい。ずーっと抱っこして、どんな顔も行動も見逃したくない。 限られた育児時間、子どもを愛して愛してください。愛し方がわからないときは、お母さん大学に来てください! 菅野朋子ーー(メール文まま)
特集でお母さん10人にインタビュー。菅野さんはその一人。取材の最後に「これから働くお母さんへ何かメッセージを」と尋ねたが、終わった後もずっと
そのことを考え、メールをくれたのだろう。
小さなお母さんだった菅野さんが、大きな心の
お母さんになっていた。子どもと向き合えば大きなお母さんになれることを、実証してくれている。
わが子が、お母さんという「花」を咲かせてくれる。わが子の存在を知ったら、何を優先すべきかが、自ずと見えてくる。
菅野さんにこのコラム枠をすっかり取られてしまった。でも、悩んでいるお母さんに伝えられるのは、悩んだことがあるお母さんだから、できること。
私も働く母親だった。娘たちとゆっくり散歩する時間も、道端の花に心を留めるゆとりもなかった。もったいないことをしたと、私の母ゴコロがうずく。
散歩中に見つけたかわいい花。花検索アプリで調べると、トキワマンサクという花だった。都会の中でも美しく咲き誇っている花たちが、日々子育てをがんばっている、お母さんたちと重なった。
(藤本裕子)
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