じんわり響くOYAKOの話⑨
Oyako Day Editorial Team 2018年7月20日

いよいよです。今度の日曜日は「親子の日」

皆さんのご家庭では何か予定を立てていらっしゃいますか?

たとえば、お父さんが料理の腕をふるう・・・なんて言うのはどうですか?

エッセイコンテストにもお父さんの料理にまつわる作品がたくさん寄せられました。

きっとお子様にとっては特別な思い出になっているからなんでしょうね。

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「お嬢さん、オムライスをどうぞ」

 

それは十二年前、私が二人の娘に言った言葉です。

 

その年、私は妻を病で亡くしました。
そして私の子育てもこのとき始まったのです。
しばらくの間、会社勤めと家事の間で私は右往左往する毎日となり、
その為か会社では家の事、家では会社の事が頭をよぎり
両方うまくいかない事が多くなりました。
そしてその事が、さらに私をいらつかせ、
いつのまにかきつい言場を娘達に投げかけるようになっていきました。
とくに小学五年生になる長女は私を避けるように自分の部屋にこもる毎日でした。

 

そんな日々が続いたとき、私が部屋を掃除していると、
偶然料理が好きだった妻の鏡台の引き出しから
何枚かのメモ書きされたレシピを見つけました。
きっと退院したら子供たちに作ってあげようと思ったのかもしれません。

私はその中で、唯一作れそうなチーズ入りオムライスのメモをとり休みの日に作りました。
味も形もとても妻に及ぶはずもなく、それでも「お嬢さん、オムライスをどうぞ」と言って、
少し焦げたオムライスを二人の娘の前に置きました。

 

長女は黙ったままでしたが少し笑ってくれたような気がします。
「どうだうまいだろう」と、今度は次女に声をかけると、
「お父さんも料理できるんだ」と、次女はいたずらっぽい笑顔で私に答えてくれました。
それからでしょうか、ゆっくりとですが、穏やかな時間を子供たちと過ごすことができました。

 

そんな娘達も今では一人前の社会人になりました。
「今日はなんだ」
休みの日、地元の小学校で給食を作っている長女に声をかけます。
「卵あるから、オムライスだな」
いつものようなそっけない答え。
でも二人の娘達と目を合わせながら食べる食事の時間は、
今の私の宝物なのです。

 

57歳 男性 新潟県長岡市

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