じんわり響くOYAKOの話⑤
Oyako Day Editorial Team 2018年7月6日

夏休みも近づく7月。

楽しい計画や準備にテンションが上がり始める子供達に対して、

一日中子供達が遊びまわる日々の訪れに、

ちょっぴりテンションが下がり気味というお母さんもいらっしゃるかもしれませんね。

でも、そんなお母さんも、お父さんも、お子さんが小さかった時のことを

こんなお話で思い出してみてください。

きっと親子で過ごす時間が

あらためて大切に思えてくるのではないでしょうか?

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「今日も母ちゃん発進!!」

子ができた、とわかった時、嬉しさより先に沸いた感情は不安だった。
私は幼い頃、母を病で亡くしている。
母を想う時、頭に浮かぶのはおいしい料理に手作りの服、そして母の笑顔。
私にはほど遠いような「賢母」の図だ。
私がそうなることなど、永遠にない。そう思っていた。
そして私よりも早く両親をなくした夫は「父親かあ」
明らかにイメージできていないようだった。

 

しかし、十月十日は予想以上に早く、更に息子は予定より半月以上早く産まれてきた。
「お母さんがんばって!!」と心の準備も不十分なまま迎えた陣痛は激痛で、
もうお母さんか、と他人事のように思った。
けれど「元気なお子さんですね」と初めて子をみた時、何かを想うより先に、まっすぐ涙がでた。
母の顔が浮かんだ。夫は「あー」とか「ひゃー」とか心の高鳴りがそのまま声になっていた。
「新しい家族の始まりですね」と看護士さんが言った時、
夫は顔をぐしゃぐしゃにして泣き出し、私もまた涙がでた。
ただ、幸せだけが体にまとわりついた。

 

それから一年、急スピードで成長する息子は今、家中走り回っている。
目を離したほんの一瞬でたんこぶを作ったり、大泣きしたりする。
親とはこんなに大変なのか、が私と夫の本音である。
…けれど、それがすごく楽しい。
毎日、小さな幸せがゴロゴロしていることに気づく。
誰かから「お父さん」「お母さん」と呼ばれるだけでにやにやし、
子供の笑い声につられて大笑いしてしまう。

 

私達は、子供を前に時折はっきり気づくのだ。
自分達の中にはちゃんと、両親が生き続けていたことに。
私達はずっと、親子の輪にいて、今またひとつの輪を作っていることに。
…息子よ、私達を親にしてくれてありがとう!
いつか本気でウザがられる日まで、彼を抱きしめてやろうと思う。
さあ、今日も母ちゃん、発進!!

 

32歳 女性 山口県

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