じんわり響くOYAKOの話②
Oyako Day Editorial Team 2018年6月22日

先週の日曜日は「父の日」でした。皆さんはどんな風に過ごしましたか?

意外と「何気なく過ぎちゃった。」なんて方もいらっしゃるのでは?

今回は同じように「お父さんとはちょっと疎遠だった」という方の思い出をご紹介。

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忘れられないお弁当

母親と比べると、父親とは会話も少ないし疎遠な気がする。
母の日よりも父の日はいつの間にか過ぎているし、仕事で家に居る時間が少ない分、
父とは接する時間が少なかったように思える。
だけど幼い頃、ほんの数日間父と二人きりで過ごした日々を
二十年近く経った今でもはっきり覚えている。
父が私の為にたった一回作ってくれたお弁当が今も忘れられない。
その日は遠足だった。当時小学生だった私が毎年楽しみにしていた登山遠足。
でもこの年弟が入院し、母がずっと病院で付き添っているため、家は私と父の二人きりだった。

遠足当日、朝起きたら既にお弁当が用意されていた。とても驚いた。
普段料理をしない父が私の為にお弁当を作ってくれていたのだった。
そのお弁当は、いつも私が愛用しているキャラクターの小さなお弁当箱ではなく、
父が普段使っている大きなお弁当箱に入っていた。
母が作る色とりどりの可愛いお弁当とは違い、中身も大きな卵焼きが入ったシンプルなものだったが、
父が出勤前に早起きして作ってくれたのが嬉しかった。

その後順調に山を登り、いよいよお弁当の時間がやってきた。
周りの子達は多分お母さんが作ったであろう色とりどりのお弁当箱を開いてた。
私はいつもと違うお弁当をおそるおそる開いた。
「私のは今日、お父さんが作ったんだ」
そう言いながら開こうとすると、物珍しそうに友達が集まってきた。
「すごい、お父さん料理上手だね」意外な言葉が周りから返ってきた。
「お料理が出来るお父さんっていいな」とたくさん言われ、私は一気に誇らしくなった。
今ほど「主夫」や「弁当男子」なんて言葉が無い時代に、
滅多に台所に立たない父が作ってくれた唯一のお弁当。
それはどんな優しい言葉よりもどんな高価なプレゼントよりも嬉しかった。

大人になった今、そんな父とは現在離れて暮らしている。
ますます会話も少ないが、言葉がなくても離れてても、
あの頃と変わらずお互いを思いやる心で強く繋がってる気がする。
家族とはそういう関係の事だと思う。
いつも変わらない愛情を持ち、いざというとき、
子どものヒーローになれる母親に私もいつかなりたいと思った。

東京都 女性(親子の日 エッセイコンテスト 2012 毎日新聞社賞)

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